あめのひのできごと
火曜日の午後、ゆうこは仕事が終わって駅から家へ帰っていました。その日は朝から空が暗くて、「雨が降りそうだな」と思っていましたが、かさを持っていませんでした。
駅を出てしばらく歩いていると、急に急に強い雨がふってきました。ゆうこは走り始めましたが、すぐに服が濡れてしまいました。「どうしよう」と思いながら、小さなバス停の下で雨やどりをしました。
そのバス停には、すでに一人の男の人が立っていました。白い髪の年上の男性で、静かに外を見ていました。手には古いかばんを持っていました。
「すごい雨ですね」とゆうこが言うと、男性は少し笑って「そうですね。最近はよくこんな天気になりますね」と答えました。
それから二人は少しの間、雨を見ながら話しました。男性は昔、建築の仕事をしていたと言いました。「建物を作る仕事は楽しいですが、大変でもあります」と話していました。
ゆうこは「建築の仕事をしていたんですか」と聞きました。男性は「はい、もう引退しましたが、今でも街の建物を見るのが好きです」と言いました。
雨はまだふっていましたが、少し弱くなってきました。バス停の前を車が通り、雨の音といっしょに静かな時間が流れていました。
ゆうこはその人と話しながら、「このバス停は古いですね」と言いました。すると男性はバス停の柱を見て、「この形は昔の設計ですね。とてもシンプルでいいと思います」と言いました。
しばらくして雨がやみました。空のすき間から少し光が見えました。男性は「そろそろ行きます」と言って歩き始めました。
ゆうこも「ありがとうございました」と言って、自分の家へ向かいました。さっきまで知らない人だったのに、少しだけ特別な出会いのように感じました。
家に着いたとき、ゆうこはぬれた服を着替えながら思いました。「ただの雨の日だったのに、少しおもしろい日になったな」と。
その日から、ゆうこは雨の日でも少しだけ外を楽しめるようになりました。