山のホテル
大学を卒業したばかりの木村りなは、自然に囲まれた小さなホテルで働き始めました。
そのホテルは山の上にあり、景色が美しいことで知られていました。しかし、交通が不便だったため、若い社員は長く続かないことが多かったのです。
りなも最初は不安でした。コンビニまで車で三十分もかかり、冬には雪で道路が通れなくなることもありました。
ある日、外国から来た夫婦がホテルに泊まりました。しかし、突然の大雪でバスが止まり、帰れなくなってしまいました。
夫婦はとても困っていましたが、りなは翻訳アプリを使いながら、一生懸命説明しました。
さらに、料理長に相談して、予定にはなかった夕食まで用意してもらいました。
その夜、夫婦は「こんなに親切にしてもらった旅行は初めてです」と何度も感謝してくれました。
数か月後、ホテルに一通の手紙が届きました。それはあの夫婦からでした。手紙には、美しい山の絵と、「また必ず来ます」という言葉が書かれていました。
りなはその手紙を読みながら、「ここで働いてよかった」と初めて思いました。