深夜のコインランドリー

佐藤さとうたくやは、広告会社こうこくがいしゃで働はたらいています。最近さいきん、仕事しごとがとても忙いそがしく、終電しゅうでんで帰かえることも珍めずらしくありませんでした。

ある雨あめの夜よる、たくやは洗濯せんたくをしていないことを思おもい出しました。しかし、アパートの洗濯機せんたくきが故障こしょうしていたため、しかたなく近所きんじょのコインランドリーへ向むかいました。

コインランドリーの中なかには、年配ねんぱいの男性だんせいが一人だけいました。その男性だんせいは、たくやを見ると「こんな時間じかんまで仕事しごとですか」と話はなしかけてきました。

たくやは少し驚おどろきましたが、「ええ、毎日まいにちこんな感じです」と答こたえました。

すると、その男性だんせいは「若わかいうちは無理むりをしがちだけど、体からだをこわしたら意味いみがないよ」と言いました。

たくやはその言葉ことばがなぜか心に残りました。洗濯せんたくが終わるまでのあいだ、二人はコーヒーを飲みながら話を続けました。

その男性だんせいは、昔むかしは有名ゆうめいなカメラマンだったそうです。しかし、仕事ばかりを優先ゆうせんしていたため、家族かぞくとの時間をほとんど失うしなってしまったと話しました。

「だから、きみには後悔こうかいしてほしくないんだ」と静しずかに言いました。

その夜以来、たくやは休日きゅうじつにはできるだけ仕事のメールを見ないようにしています。