古いノートパソコン
中古ショップで働く松田ゆうきは、ある日、とても古いノートパソコンを買い取ることになりました。
見た目はぼろぼろでしたが、なぜか持ち主だった女性は「できれば捨てないでください」と強く頼みました。
ゆうきは気になって、修理できるかどうか調べてみました。すると、中には大量の写真データが残っていました。
そこには、小さな女の子の成長記録や家族旅行の写真が入っていました。
しかし、最後のほうの写真だけ、病院で撮ったものばかりでした。
ゆうきは事情を聞くべきか迷いましたが、数日後、その女性が再び店に来ました。
女性は少し迷ったあと、「娘は去年病気で亡くなったんです」と静かに話しました。
「このパソコンには、娘との思い出が全部入っているんです」と言ったとき、女性は涙をこらえていました。
ゆうきはその日の夜遅くまで作業を続け、なんとかデータを新しいUSBに移しました。
女性は何度も頭を下げながら、「本当にありがとうございました」と言いました。
そのあと、ゆうきは動かなくなった古いノートパソコンを見つめながら、物には値段だけでは測れない価値があるのだと思いました。