AIとおじいさん
工学部の学生である藤井そうたは、AIの研究に夢中になっていました。
ある日、教授から「高齢者にも使いやすいアプリを考えてみなさい」と課題を出されました。
そうたは最初、「簡単でしょう」と思っていました。しかし、実際に祖父にスマホを使ってもらうと、問題だらけでした。
文字が小さすぎたり、同じようなボタンが多すぎたりして、祖父は何度も「どこを押せばいいんだ」と困っていました。
そうたはそれまで、「便利な機能を増やすこと」が大切だと考えていました。しかし、祖父の様子を見ているうちに、「だれでも安心して使えること」のほうが重要なのではないかと思い始めました。
そこで、必要な機能だけを大きく表示するシンプルなアプリを作りました。
完成したアプリを祖父に見せると、「これならわしにも使えそうだ」とうれしそうに笑いました。
その表情を見た瞬間、そうたは初めて、自分が作りたかったものが何だったのか理解した気がしました。